飛行機とバスとフェリーを乗り継いでようやく到着した竹富島。
白砂の路地、琉球石灰岩を積み上げた石塀、赤瓦の屋根・・・。
そこは別世界の楽園のよう。
ゆったりと流れる時間を少しづつ少しづつ、満たしてくれるような場所です。
竹富島には、昭和61年に制定された「竹富島憲章」という取り決めがあるそうです。
「売らない」「汚さない」「乱さない」「壊さない」「生かす」
この憲章のおかげで、この豊かな島の時間が守られています。
私達、観光客も、この憲章を尊重し、謙虚に過ごしたいと思います。
そして、今回の宿泊場所は、星のや竹富島。
我が家にとっては、これまでに経験したことのないような贅沢な旅です。
(結婚25周年なので、ここで贅沢しなければする時がないかなと・・・。でも、うちの奥さんが病みつきになってしまうのが怖い。)
星のやさんは、竹富島憲章を守りつつ、島の方たちと長く丁寧な話し合いを持ち、WIN-WINとなるような関係を築き、このリゾートを作られたそうです。会社としての理念を感じます。
竹富港を出発した送迎バスがレセプション前に到着すると、美しい光景に、自然と車内には「わぁー!」という歓声が沸き起こりました。
レセプションでは、さんぴん茶と沖縄のお菓子を頂きながら、チャックイン。
スタッフの方のおもてなしも気持ち良く、不思議なことに、最初から、信頼関係が結ばれているような感覚を持ちました。これが、星のやブランドへの信頼力なのかもしれません。アトリエ橙(だいだい)もそうありたい。
客室は全て平屋の一軒家。本物の集落のようです。
「泊まる」という感覚より「暮らす」という感覚。
グック(石塀)に導かれるように白砂のスージ(路地)を進み、「我が家」の敷地に入ると、正面にヒンプンがあります。蝶がひらひらと舞いながらお出迎え。
ヒンプンとは、門と家屋の間に設けられる屏風状の壁のことを言い、路地から室内への視線を遮り、プライバシーを守る役割を果たしています。
門扉やシャッターで仕切るのではなく、緩やかに街路と繋がりながら内外を分けるこの手法は、都市住宅の設計においても有効な手法だと思いました。
ヒンプンのうしろに平屋建ての木造家屋。
軒下空間は、「雨端(あまはじ)」と呼ばれています。
なんとも、沖縄らしい風流な呼び方ですね。
ヒンプンもあまはじも、内と外との曖昧な関係を作り出しています。
そして、いよいよ室内へ。
思わず、「おーーーー!」と声を出さずにはいられません。
建築家・東利恵さん(東孝光さんの長女)の設計です。
素朴な素材を使いながらも、スタイリッシュで洗練されたデザイン。
△茶の間
正面の引き違いが玄関 照明はピンスポット テレビはあえて無し
△デイベッド
正面はクロス仕上げのアクセントウォール 左奥は寝室
△寝室
琉球畳敷きと小上がりベッド
△ウォークインクロゼット
奥は、開放的な浴室(浴槽のみで洗い場な無し)
ゆっくり建築空間を堪能した後、夕食はインルームダイニング。
客室係りのスタッフの方が、部屋まで食事を運んでくださいます。
銀婚式おめでとう! いつもありがとう。
夕食後は、無料で貸し出してもらえる双眼鏡と懐中電灯を持って、星空観察へ。
星のや敷地内にある見晴台が絶好の観察場所。
明るい昼間のうちに、下見しておきました。
(夜は真っ暗になるので、道に迷います。)
日が暮れてきました。ゆんたくラウンジ前のプールです。
見晴台に到着。
残念ながら、雲が多く、あまり星が見えません。
でも、星のやの集落は美しいです。
粘ること、30分。
雲が風で流され、星空が見えてきました。
竹富島から見る天の川です!
富士山に登った時に天の川を見たことはあったのですが、あの時は星空を楽しむ余裕がなくチラ見した程度でした。
今回は、思う存分!満点の星空!
普通は、天の川を見るためには、数時間かけて山奥の方まで行かなければならないことが多いと思うのですが、ここ竹富島では、宿の外に出て空を見上げれば天の川を見ることができます。
石垣島北部と竹富町の西表石垣国立公園内は、日本で初めて星空保護区に認定されているのです。
(星空の撮影データ覚え書き)
三脚+マニュアル撮影
絞り4.0
シャッタースピード 20~30秒
ISO感度4000~6400
CANON EOS6D(フルサイズ一眼)
EF17-40mm F4.0L USM(広角レンズ)
竹富島は、サンゴ礁が隆起した島なので山がありません。
そのため、上空で風を遮るものがなく、雲の流れが速いことが特徴です。
(と、客室係りの方に教えてもらいました。)
星空が見えなくても、20分~30分くらい待てば、綺麗に雲がなくなり、満天の星空が見えることがあります。あきらめずに粘りましょう。
そして、明るい満月の日ではなく、新月の日に合わせて宿泊されることをおすすめします。(今回は2日目の夜が新月でした。)
翌朝は、集落にある丸八レンタサイクルで自転車を借りて、島を周遊。
竹富島は小さな島なので、外周道路1周が自転車で30分。しかも、坂道がほとんどないので、快適です。信号も見かけませんでした。あと、レンタサイクルなのに、カギがないというのも、島のおおらかさを感じます。
まずは、西桟橋へ。夕方、夕景を撮影しに来るための下見です。
なかなか良いロケーション。ここで夕景を見れるのは、島に宿泊する人だけの特権とはいえ、人気のスポットなので、大勢の人で賑わいそう。三脚を立てる位置を検討。
西桟橋を後にして、近くのアクセサリーショップ「アイランド」に立ち寄り。
星砂を閉じ込めたアクセサリーが素敵でした。
その星砂が見れるのは、カイジ浜。
ちょっと形が悪いけど、一つだけ見つけました。
本当は砂ではなく、微生物の亡き骸。
続いて、コンドイ浜。
どこまでも続く遠浅の海岸です。波もほとんどありません。
10月の終わりだと言うのに、気温30度。泳いでいる人もいます。
そして、この透明度。
一度、集落を離れ、星のやに戻り、ちょっと休憩。
夕方は、西桟橋の夕景撮影へ。
星のやさんの夕景ツアー(無料・要予約)に申し込めば、日の入りの時刻に合わせて、マイクロバスで連れて行ってくれます。夜道は真っ暗なので、自転車や徒歩で行くことはできませんので、ご注意を。
2泊3日の竹富島の旅。
竹富島の皆さん、星のやの皆さん、お世話になりました。
ゆったりとした島の時間を感じ、十二分に滞在を楽しむことができました。
羽田空港に着き、すぐまた、もう一度、行ってみたい!と思う場所、竹富島。
いつまでも、島の環境が守られることを切に願います。