主人公・朝子の前から突然、姿を消してしまう恋人の麦(ばく)。数年後、麦とそっくりな顔をした亮平と出会い、恋に落ちてしまう朝子。しかし、幸せな5年の歳月を過ごしたある日、元恋人の麦が朝子を迎えに来る。
ヒロイン朝子に共感できる人は少ないと思う。でも、この映画は観る人に共感を求めてはいないのだと思う。そういう点で、珍しいし、興味深い映画である。
「麦」と「亮平」が象徴する「何か」を誰もが持っているのだろう。似ているけれど、本質が違うもの。それは人に限らず、仕事だったり、生き方だったり。自分にとって大切なものは何か?わかっているつもりでも、気づかず、大切なものを見失っているのかもしれない。
共感をしないのに、強烈に印象に残る映画。
(飯田橋ギンレイホールにて)