左官職人さんとのやりとり。
「仕上げはどんな感じにしますか?」
「木ゴテで荒らして、少しヘッドカットしてもらえますか?」
「骨材を入れないと無理じゃないですか?」
「いや、このままで出来るはずです。」
「この材料ではやったことないですけど。」
「ちょっと、試しにサンプル作ってもらえますか?」
「こんな感じですか?」
「荒らす方向は、無方向の方がいいですね。
あと、荒らし方はもう少し細かい方が。」
「木ゴテよりスタイロで荒らした方がいいかもしれませんよ。」
「そうですね。じゃぁ、スタイロにしましょう。」
「ヘッドカットも方向を出さない方がいいんですよね。」
「そうですね。それぐらいの感じが。」
「こういう感じですかね。」
「あぁ、いいですね。これで行きましょう!」
そんなやり取りの末、
昨日、美しい左官壁が出来上がりました。
表面を荒らしたのは、珪藻土の表面積を大きくして、
調湿機能をより引き出すため。
ヘッドカットをお願いしたのは、表情を落ち着かせて、
白熱灯をあてた時に、美しい陰影を引き出すため。
さすが、プロの職人さんです。
イメージ通りの仕上がりが実現できました。
左官職人さんも監督さんに後でこんなことを言っていたそうです。
「金ゴテで押さえて平滑にと言われても、
腕のふるいようがなくてツマラナイけど、
今回の仕上げはいいよ。
こういう設計事務所さんなら、
また次の仕事もやりたいね。」
仕上がりの良さと共に、嬉しい言葉でした。
左官職人さん、ありがとうございました。
工業製品ではない、職人さんの手の跡が残る家創り。
生活の中で、きっと味わい深いものになっていくものと
期待しています。