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いつもの珪藻土壁についての解説

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先日、竣工した「金沢文庫の家」の珪藻土の壁仕上げです。


材料は、サメジマのリターナブルパウダーA。
珪藻土建材にも色々ありますが、中には樹脂で固めていて、
珪藻土の特性を完全に失っている珪藻土建材も出回っています。
リターナブルパウダーAは、粘土の凝結力で固化させているので、
問題がなく、再利用が可能です。


再利用が可能ということは、水分を含ませると元に戻るということです。
つまり、ちょっとした傷やヒビなどは、霧吹きなどで水分を含ませ、
歯ブラシやバターナイフなどで、一般の方でも簡単に手直しが
可能ということです。
(竣工引渡しの際、メンテナンス方法について解説させて頂いています。)


この材料をよく使うのは、
安全性とこのメンテナンスのしやすさが、
大きな理由です。


仕上げの仕方は、平坦に仕上げることはせず、
木ゴテで無方向に荒らし、金ゴテでヘッドカットをして、
表情を作ります。


表面積を大きくすることで、珪藻土の特性である調湿性を最大限に
引き出すことを狙っています。


また、わずかな凹凸をつけることで、
照明の光を当てた時に、美しい陰影があらわれ、
落ち着いた空間を演出してくれます。


平滑に仕上げては、表情が出ないばかりか、
ムラが気になったりしますし、
櫛引き仕上げは、材料費が高くなる上、
ホコリがたまりやすくなるという欠点がありますので、
私は、この仕上げ方法が気に入っています。


しかし、同じように左官屋さんに手順をお願いしても、
左官屋さんによって、微妙に加減が違います。
そこが実に面白いところなので、細かい加減は、
職人さんの腕を尊重することにしています。


金沢文庫の家」の左官屋さんは、
何度目かのお付き合いなので、
大変いい表情が出ていると思います。


工業製品の味気なさではなく、
職人さんの手の跡が残る壁仕上げ。
何とも贅沢な仕上げだと思いませんか?



その左官仕上げを生かすのが、間接照明です。
クリプトン球を使うことが多いのですが、
金沢文庫の家」では、キセノンランプを使用しています。


キセノンランプは、主に店舗照明で使用されるランプで、
一般には入手しにくいというデメリットもありますが、
ランプ寿命が20000時間という大変、長い寿命を持っています。


夕方6時〜11時まで1日に5時間点灯すると仮定すると、
約11年間、ランプ交換が不要ということになります。
調光スイッチと併用すれば、さらに寿命が延びます。
アール面やコーナー部への施工に対する柔軟性もあるので、
とても便利なランプです。


他には、ナツメ球やシームレスラインランプなども使用可能です。
用途や演出手法によって、使い分けることが大切と考えています。



以上が、当事務所が標準的に推奨する
珪藻土壁仕上げの基本的な考え方です。


新築をご計画中の方、いかがでしょうか?
美しいばかりでなく、結露防止にも役立ちます。






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さらに詳しい事例は、こちらをどうぞ。
奥山裕生設計事務所HP