加工の精度とスピードにただただ圧倒されましたが、
ちょっと意外だったのは、単純なカットでも、
プレカットできない箇所があるということ。
今回の物件は、1寸勾配の屋根なのですが、
垂木を受ける梁の欠き込みは、3寸以上の勾配でないと、
加工できないとのこと。
機械なので、何とかなりそうなものですが、
今回は、現場で加工してもらうことになりました。
(プレカットの機械によるのかな?)
プレカットも万能ではないのですね。
最後は、やっぱり大工さん。
さてさて、プレカットで大事なのは、プレカット図です。
加工機械は間違うことはなくても、
プレカット図が間違っていては意味がありません。
現在の木造2階建て住宅の図面作業の流れとしては、
まず、設計事務所が構造を検討し、構造図を作成します。
当然、軸組計算もします。
(構造が苦手な建築士の場合は、構造図を書かず、
工務店にお任せしてしまうこともあるようですが。)
その図面を元に、工務店が工事見積。
確認申請には、現在、建築士が設計した場合、
構造図の提出は「免除」されています。
当然、構造の検討をしているだろうという「性善説」に基づく制度です。
工事契約後、工務店の監督さんが、設計事務所の書いた構造図をプレカット屋さんに発注。
プレカット屋さんは、その構造図をチェックして、
梁や柱の数量や断面寸法が不足している場合は、修正図を作成します。
(今回のプレカット屋さんは、大宮と中国にCADセンターがあるそうです。)
その修正図を監督さん(場合によっては大工さん)がチェックをして、
何度か図面のやり取りを重ねます。
その後、設計事務所がチェックをして、最終図を承認するという流れです。
二重三重のチェック機能が働くので、現状の流れで問題はないのですが、
もしかしたら、来年以降、違うルートが出てくるかもしれません。
確認申請のさらなる法改正で、来年以降、木造2階建ての構造図提出の免除が
取り消される模様です。アネハ以降、「性善説」から「性悪説」に
大変換されてしまったからです。
そうなると、もしかすると、プレカット屋さんが、構造設計業務に乗り出し、
設計段階で、設計事務所から構造設計の受注をするという流れが出てくるかもしれません。
設計段階でプレカット図が出来て、それが確認申請図面にもなり、
見積図面にもなり、当然、施工図面にもなる。
木造に強い構造設計事務所が少ない中、需要はかなりあると思われます。
加工費が下がり続け、経営が苦しいプレカット屋さんには、
新しいビジネスチャンスとなり、
設計事務所にとっては、確認申請を通しやすくなり、
工務店にとっては、木拾いがしやすくなる。
プレカット屋さんも、
「その可能性は大いにあるでしょうね。」とのこと。
意外とこの動きは早いかもしれません。