阪神淡路大震災の被害が多かった神戸市東灘区の調査によると、シロアリ被害のあった住宅は90%以上が全半壊、被害のなかった住宅の全半壊は30%未満という報告がされています。住宅の耐久性を考えた時、土台周辺の防蟻対策は最も重要な検討事項の一つと言っても過言ではありません。
近年まで、一般的な防蟻対策として、「クロルピリオス」という防蟻処理剤が使用されていました。しかし、この「クロルピリオス」は、ホルムアルデヒドより強い毒性がある化学物質です。サリン事件でその毒性が注目され、2005年4月以降は使用が事実上、禁止になっている化学物質ですが、現在でも使用されているという話しもよく聞きます。
防蟻対策としては、まず、土台の樹種の選定で対処することが大切と考えています。
一般的な建売住宅などでは、コストの面で米栂材を使用することが多いのですが、米栂は、水に弱くシロアリの好む樹種と言われています。そのため、防腐・防蟻処理が不可欠となるのです。
当設計事務所では、防腐・防蟻処理をしなくてもよい米ヒバ材を土台に使用することにしております。米ヒバはヒノキ科に属し、ヒノキチオールという成分を多く含んでおります。ヒノキチオールは、木自身を湿気や虫から守る作用を持っています。ひばのオガクズの中にシロアリを入れると死んでしまうそうです。しかし人体には無害な物質です。
米栂と米ヒバをコストで比較すると、1.3〜1.6倍くらいのコストの差がありますが、建物の耐久性に関わる部分ですがので、こういう部分には、しっかりとコストを掛けて住宅を創りたいと考えております。
(追記)
さらに、防蟻対策として、人体にも安全なナチュレ防虫塗料を塗布することもあります。ナチュレ防虫塗料は、青森ヒバから抽出したヒバ油、沖縄の植物「月桃(げっとう)」のエキスをブレンドした、天然の防虫剤です。