それから、約1年・・・。
浴槽開発部の担当の方から電話が掛かってきました。
「ハーフの試作品ができたので見て頂けませんか?」
「えっ?本当に出来たんですか?是非、拝見させて下さい。」
軽トラックに試作品を載せて、事務所の近くまで、
わざわざ持ってきて頂きました。
「うーん・・・。」
正直なところ期待外れでした。
フルユニットの製造ラインを生かした試作品でしたので、
デザイン的に装飾がかっていて、設計事務所やそのクライアントには、
明らかに好まれないデザインでした。
また、腰壁の立ち上がりが従来のハーフユニットより、
かなり低く、防水的にも不安が残る試作品でした。
「ハーフユニットのターゲットはおそらくハウスメーカーではなくて、
設計事務所だと思うので、もう少し設計事務所が好むようなデザインが
いいんじゃないでしょうか?
装飾を削ぎ落としてできるだけシンプルに。
防水も少し不安です。
立ち上がりのラインはやはり浴槽の高さまで上げた方がいいと思います。
水栓の選択肢が広がったことと、搬入の際、分割できるようになったことは
すごく嬉しいのですが・・・。」
再び、期待を込めて、遠慮なく指摘させて頂きました。
数日後、担当責任者の方から電話がありました。
「フルユニットの製造ラインは使わず、
ハーフ独自のデザインで開発することになりました。」
「そうですか。いいのが出来そうですね。
ハーフを好んで使う設計事務所は他にもあるので、
私以外にも広くヒアリングされてみてはいかがでしょうか?」
建築雑誌でよく見掛けるハーフを好んで使う設計事務所を
リストアップし連絡先をお知らせしました。
面識はない方達なので、紹介というわけではないのですが・・・。
何だか面白くなってきました。